
米大学が開発した新技術
2014年5月、米国にあるライス大学がある技術を開発したことが大きな話題を呼びました。
その開発した新技術というのが溶けて骨に置き換わるという「骨組織再生ゲル」です。
これは、いったいどういう技術なのでしょうか?
また、骨組織再生ゲルがあることで医療現場ではどのようなことが期待されているのでしょうか?
詳しく内容について見ていきましょう。
骨組織再生ゲルの革新性
骨組織再生ゲルは、ヒドロゲル(水をベースとしたゲル)とも呼ばれており、室温で液体、人肌くらいの温度では固化し、そしてその後は分解していく成分です。
骨組織再生ゲルを骨が欠損してしまった部位に注入すると、骨が再生するまでの間、土台としての役割を担います。
骨の再生速度に合わせて分解していくため、骨組織の再生方法に新たな希望をもたらす存在としても注目を集めています。
従来の治療法は、液体から暖かくなると個体に変化するゲルを含んだポリマーを使ったものであり、固化することで水分が失われながら崩壊してしまうことから、骨の再生の間の隙間を埋めることができないというデメリットもありました。
この骨組織再生ゲルは、そうした課題を克服しており、一度固形化してしまっても安定して形状を保てるようです。
「クロス・リンカー」という架橋剤を加えることで、固形化後も形状を保てるようになったということです。
つまり、長期的に見ても骨再生のための土台としての機能が続くことになります。
クロス・リンカーはゲルへの添加の際にリン酸エステルボンドを使います。これは、人間の体内にあるアルカリホスファターゼと呼ばれる酵素によって分解されてしまうという性質を持っています。
アルカリホスファターゼは新しく発生した骨組織から分泌されるので、新しい骨の周りにあるゲルが早くに分解されるため、再生を妨げずに治癒できるのです。
骨組織再生ゲルが治療に活用されるのはもう少し先
骨組織再生ゲルの開発は大きな関心を持って見守られていますが、活用にいたるまでにはもう少し時間がかかりそうです。
というのも、骨の再生速度には個人差があり、その再生速度に合わせて骨組織再生ゲルの分解速度を調整する必要があり、これが技術的に非常に難易度が高いのです。
ライス大学の発表では、速度調整は可能、としながらも、「その調節は容易ではなく、またバイオテクノロジー企業向きの内容だろう」と言っています。
また、今後はヒドロゲルとその分子構造の研究を行うとも述べており、今後の進展に期待が集まっています。
まだ分解と再生のバランスを整えるのは困難であり、すぐに幅広く使うのは難しそうではありますが、医療業界は非常に注目しています。